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August 2012 の投稿一覧です。
昨日一昨日と2日に渡って改正税法の説明をさせていただきましたので、今日は実務的な対応についてお話しいたします。

同じ事業年度で同じ耐用年数の定率法について2つの償却率が存在するということは、計算ミスなどを生じる可能性が高くなりますし、将来の事業計画を立てる上でも各事業年度の償却限度額を計算することが煩雑にもなりますので、できることならばどちらか1つの償却率に統一したいと思うのではないでしょうか。

改正事業年度内に取得した資産については届出無しに250%定率法を適用できますし、逆に200%定率法を適用したい場合にはその届出書は決算書の提出期限までに提出すれば良いわけですから、今年の4月1日を跨いで現在進行している事業年度においては、事業年度が終了して決算をまとめるとき猶予があることになります。

例えば今期は利益が出たので納税額を抑えたいということであれば、これまでの250%定率法を適用することで償却限度額が1.25倍(250%/200%)大きくなりますから、その分だけ節税をすることができます。

逆に損失が出て少しでも赤字の幅を小さくしたいということであれば、決算書と一緒に届出書を提出することで、200%定率法を適用して償却限度額を80%(200%/250%)に抑えることができます。

この改正に伴いまして、減価償却や資産管理用の会計プログラムもそれぞれ改訂版を発売しておりますので、税理士などに依頼せず自社で決算書類の作成を行っておられます場合には、最新版のプログラムをご用意いただきまして、どちらの償却率を適用することの損得比較や将来の事業計画のための来期以後の償却限度額のシミュレーションなどに、ご利用いただくのがよろしいかと思います。

魔法陣六訂版
今回の改正により償却限度額を計算する場合に、同じ事業年度の同じ耐用年数の定率法であっても償却率が異なることになり、経理処理が煩雑になりますので、事務負担の軽減のために次の2つの規定が設けられています。

1つは平成24年4月1日前に開始をして同日以後に終了する事業年度(改正事業年度)において、4月1日以後に定率法による償却を選定している減価償却資産を取得した場合には、これまで同様250%定率法により償却限度額を計算することができる特例があります。

すなわちこの特例を適用すれば、改正事業年度においてはすべての定率法はこれまでの250%定率法により計算をすることができます。

そしてこの適用を受けるためには届出は必要ありませんけれども、すべての定率法の計算は250%定率法によらなければならず、一部200%定率法を適用するなどの選択はできません。

2つめは逆に、これまで250%定率法を選定していたものを、200%定率法により計算する方法です。

上記の改正事業年度または平成24年4月1日以後最初に開始する事業年度のいずれかの事業年度以後の各事業年度における償却限度額の計算で、その減価償却資産のすべてを平成24年4月1日以後に取得したものとみなして、200%定率法により償却することができます。

この適用をうけるためには、平成24年4月1日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに、200%定率法の適用を受ける旨の届出書を、所轄税務署長に提出しなければなりません。

また上記の特例と同様に、資産ごとに250%定率法若しくは200%定率法を選択するのではなく、「すべての」資産についての適用となりますのでご注意ください。

そして同じ耐用年数ですけれども償却の途中で償却率が変わる(少なくなる)ので、最終的にはその耐用年数で償却しきれるようにするために、経過年数に応じた償却率・改定償却率・保証率が適用されることにも注意が必要です。

200%定率法の適用を受ける旨の届出書
今年平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率が改正になっていますので、改めてご説明いたします。

これまでの平成19年4月1日から平成24年3月31日までに取得した減価償却資産の定率法では、250%定率法の償却率が適用されておりまして、その償却率の計算方法は次のとおりです。
「耐用年数の逆数(小数第4位四捨五入)×250%(小数第4位切捨)」

これに対して今回の200%定率法の償却率の計算方法は、次の通りです。
「耐用年数の逆数(小数第4位四捨五入)×200%(小数第4位切捨)」

すなわち、これまでの250%定率法に比べて減価償却費として算入できる償却限度額が、80%(=200%/250%)少なくなりました。

ここで2つの留意点をまとめます。

1.対象となるのは「定率法」のみ
 定率法の償却率の計算方法の改定ですので、定額法により償却限度額を計算している建物などの資産については影響はありません

2.「取得」の時期での判断
 「平成24年4月1日以後に取得する」資産についての改正ですので、例えば平成24年3月31日に取得をしたけれども、4月1日に使用を開始した減価償却資産については、これまで同様250%定率法が適用されます

200%定率法の償却率など

旧定率法及び250%定率法の償却率など
再来年平成26年4月1日より消費税率が8%(消費税6.3%+地方消費税1.7%)に増税される施行日(予定)となっています。

そしてその半年前の平成25年10月1日を指定日といい、この日より前に資産の貸付けについての契約が結ばれて、施行日の前から同日以後にわたって引き続きその契約に関する貸付けをおこなっている場合で、下記の要件を満たすならば、施行日以後の貸付けに係る消費税は現行の5%(消費税4%+地方消費税1%)のままで良いという規定があります。

要件
1.その契約に係る資産の貸付けの期間とその期間中の対価の額が定められている
2.事業者が事情の変更などの理由によりその対価の額の変更できない
3.契約期間中に当事者が解約の申し入れできない他契約内容が政令で定める要件に該当する

上記の1と2に該当する契約は事務所や駐車場などの賃貸借契約、上記1と3に該当するのはいわゆるリース契約です。

指定日まであと1年ちょっととなりましたので、今ご契約中の不動産やリースの内容を見直したり、新規でご契約を行う予定がある場合などには、ちょっと頭の中に覚え置かれますと消費税の節税になるかと思います。

もちろん経営者だけではなく個人の方でも、増税前に車の買い換えやご自宅の購入やリフォームなどの大物耐久財の駆け込み消費はご検討いただいた方が良いと思います。
5%から8%へ変わるだけでも差引で3%ですから、100万円で3万円、1000万円ならば30万円も増えることになりますし、当然大きなご契約の場合にはそれに関わる手数料なども必要になりますが、それらに対する消費税も増えるので総額ではもっと大きな差になります。

カラーコピー機
我が事務所のカラーコピーはリースでは無くて購入しておりますので、リースのDMはご遠慮ください。