| Next?
昨日の続きです。

この計算方法のミソは、均等割額の按分時には12ヶ月を割り振るのに対して、法人税割額の按分時には両方共に切り上げ処理をして合計13ヶ月での計算となるところです。
ちょっと腑に落ちないというか納得できないところがあるのですけれども、昨日の例の場合ですと、

 今回の法人税割額:4,000円+8,100円=12,100円
 通年の法人税割額:100,000円×12.3%=12,300円

と期中に移転した方が合計では税額が安くなるので、良しとしましょう。

多分移転をしてもしなくてもできるだけ公平になるように、端数切り上げをしての13ヶ月の調整をしたのだろうと想像します。
均等割額のような端数調整をしてしまいますと、移転を頻繁に繰り返して納税額を少なくするという節税対策が有効になってしまいます。

申告書への記載方法は、申告書下部の分割基準へ従業員数を記載し、その按分結果を?の「2以上の市町村に事務所又は事業所を有する法人における課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額」の欄に、昨日計算したそれぞれの市町村ごとの課税標準額を記載して、それに税率(12.3%)を乗じて税額を計算します。

また申告書下部の「市内に所在する事務所、事業所又は寮等」という欄の、「分割基準」の人数欄にも昨日の分割基準従業員数などを記入します。

法人市民税申告書(逗子市)

移転日を月初1日にしますと、端数切り上げ処理が無いために法人税割額の計算でも12ヶ月で課税標準額を求められますので対象となる人数によっては、少しだけ有利になるかも知れませんが、大勢に影響は無さそうです。


期中に同じ税務署同じ都道府県税事務所の所轄内で、他の市町村へ移転した場合の、法人市民税の計算方法の説明です。

次の手順で計算します。
1.法人税法に基づいて法人税額を計算する
2.移転前と移転後の日数から所在月数を計算する
3.移転日の直前月末の従業員数とその事業年度の末日の従業員数に上記所在月数を乗じて年間のべ従業員数を計算する
4.年間のべ従業員数で法人税額を按分して移転前と移転後のそれぞれの課税標準額を求める
5.それぞれの課税標準額に法人市民税率を乗じてそれぞれの法人市民税法人税割額を計算する

と書いただけでは何のことやらまったくわからないかと思いますので、以下に具体的な数字で例示します。

例)期中に鎌倉市から逗子市へ移転した場合(移転後鎌倉市の本店は廃止)
   → 税率は12.3%、均等割額は50,000円、法人税額は100,000円
     事業年度は4月1日-3月31日で、7月11日に移転
     従業員数は年間通じて、社長+事務員で合計2名

1.所在月数の計算
 鎌倉市:4月1日-7月10日=3月10日 → 4月(端数切上)
 逗子市:7月11日-3月31日=8月21日 → 9月(端数切上)

2.年間のべ従業員数の計算
 従業員数:社長+事務員=2名
  移転日の直前の月末(6月30日)の従業員数:2名
  計算期間の末日(3月31日)の従業員数:2名
 分割基準従業員数
  鎌倉市:2人×4月/12月=0.666人 → 1人(端数切上)
  逗子市:2人×9月/12月=1.5人 → 2人(端数切上)
 分割業者数計:1人(鎌倉市)+2人(逗子市)=3人

3.税額計算
 法人税額:100,000円
 鎌倉市民税の計算
  課税標準額:100,000円×1人/3人=33,333円 → 33,000円(千円未満切捨)
  法人税割額:33,000円×12.3%=4,059円 → 4,000円(百円未満切捨)
  均等割額:50,000円×3月/12月=12,500円
  合計:4,000円+12,500円=16,500円
 逗子市民税の計算
  課税標準額:100,000円×2人/3人=66,666円 → 66,000円(千円未満切捨)
  法人税割額:66,000円×12.3%=8,118円 → 8,000円(百円未満切捨)
  均等割額:50,000円×9月/12月=37,500円
  合計:8,100円+37,500円=45,600円

長くなりそうですので、本日はここまでにして、明日の続きをお待ちください。

法人市民税の均等割の税率と法人税割の税率(千葉市)
関与先様の経理データの確認をしていましたところ、24時間テレビへ寄付が出てきました。

法人の場合も個人の確定申告と同様に、要件を満たすと寄附金を法人税の経費(損金)として処理をすることができますので、その要件について確認しました。

いつもの通りGoogle様で「24時間テレビ 寄附金控除」と検索しますと、同局のサイトの中に、「24時間テレビ」東日本大震災緊急募金(義援金)寄附金控除について、というページが見つかりました。

そこには『「24時間テレビ」でお預かりした募金のうち、東日本大震災緊急募金(義援金)としてお預かりした募金は、「24時間テレビ」の通年募金とは異なり「寄附金控除」の対象となります』とありました。
これは裏を返しますと、今夏行われたような通常の(?)24時間テレビへの募金は、寄附金控除の対象とはならない、ということです。

試しにNHKが歳末に行っているたすけあい募金について調べてみますと、同局のサイトの中に、「税制上の優遇措置について」というページがあり、個人も法人も寄附金控除の対象になるとの説明がありました。

この違いはどうしてなのでしょうか?
国営放送か民間放送かという違いではなく、集めた募金の使い方に問題があるようです。
ここからは私の推測ですが、多分NHKは共同募金会や日本赤十字などと提携をして集まった募金のすべてを本来の目的である寄付として配分しているのに対して、日本テレビは寄付に使われていない部分があるのではないでしょうか。

同番組では出演料が払われるとの噂を聞いたこともありますから、もしかするとそのような形でも募金の一部が使われているのかも知れません。
そもそもチャリティー番組へ参加するのに、出演料を払うという考え自体がチャリティーでは視聴率目的の特別番組になってしまっているのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか?

いずれにしましても、今回の24時間テレビへの募金は寄附金控除の対象にはならないということを関与先様にご説明をしまして、今後せっかく募金をされるのであれば、先に寄附金控除の対象となることをご確認いただいてからにしてくださいとお願いしました。

別表14(2) 寄附金の損金算入に関する明細書
昨日一昨日と2日に渡って改正税法の説明をさせていただきましたので、今日は実務的な対応についてお話しいたします。

同じ事業年度で同じ耐用年数の定率法について2つの償却率が存在するということは、計算ミスなどを生じる可能性が高くなりますし、将来の事業計画を立てる上でも各事業年度の償却限度額を計算することが煩雑にもなりますので、できることならばどちらか1つの償却率に統一したいと思うのではないでしょうか。

改正事業年度内に取得した資産については届出無しに250%定率法を適用できますし、逆に200%定率法を適用したい場合にはその届出書は決算書の提出期限までに提出すれば良いわけですから、今年の4月1日を跨いで現在進行している事業年度においては、事業年度が終了して決算をまとめるとき猶予があることになります。

例えば今期は利益が出たので納税額を抑えたいということであれば、これまでの250%定率法を適用することで償却限度額が1.25倍(250%/200%)大きくなりますから、その分だけ節税をすることができます。

逆に損失が出て少しでも赤字の幅を小さくしたいということであれば、決算書と一緒に届出書を提出することで、200%定率法を適用して償却限度額を80%(200%/250%)に抑えることができます。

この改正に伴いまして、減価償却や資産管理用の会計プログラムもそれぞれ改訂版を発売しておりますので、税理士などに依頼せず自社で決算書類の作成を行っておられます場合には、最新版のプログラムをご用意いただきまして、どちらの償却率を適用することの損得比較や将来の事業計画のための来期以後の償却限度額のシミュレーションなどに、ご利用いただくのがよろしいかと思います。

魔法陣六訂版
今回の改正により償却限度額を計算する場合に、同じ事業年度の同じ耐用年数の定率法であっても償却率が異なることになり、経理処理が煩雑になりますので、事務負担の軽減のために次の2つの規定が設けられています。

1つは平成24年4月1日前に開始をして同日以後に終了する事業年度(改正事業年度)において、4月1日以後に定率法による償却を選定している減価償却資産を取得した場合には、これまで同様250%定率法により償却限度額を計算することができる特例があります。

すなわちこの特例を適用すれば、改正事業年度においてはすべての定率法はこれまでの250%定率法により計算をすることができます。

そしてこの適用を受けるためには届出は必要ありませんけれども、すべての定率法の計算は250%定率法によらなければならず、一部200%定率法を適用するなどの選択はできません。

2つめは逆に、これまで250%定率法を選定していたものを、200%定率法により計算する方法です。

上記の改正事業年度または平成24年4月1日以後最初に開始する事業年度のいずれかの事業年度以後の各事業年度における償却限度額の計算で、その減価償却資産のすべてを平成24年4月1日以後に取得したものとみなして、200%定率法により償却することができます。

この適用をうけるためには、平成24年4月1日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに、200%定率法の適用を受ける旨の届出書を、所轄税務署長に提出しなければなりません。

また上記の特例と同様に、資産ごとに250%定率法若しくは200%定率法を選択するのではなく、「すべての」資産についての適用となりますのでご注意ください。

そして同じ耐用年数ですけれども償却の途中で償却率が変わる(少なくなる)ので、最終的にはその耐用年数で償却しきれるようにするために、経過年数に応じた償却率・改定償却率・保証率が適用されることにも注意が必要です。

200%定率法の適用を受ける旨の届出書
今年平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率が改正になっていますので、改めてご説明いたします。

これまでの平成19年4月1日から平成24年3月31日までに取得した減価償却資産の定率法では、250%定率法の償却率が適用されておりまして、その償却率の計算方法は次のとおりです。
「耐用年数の逆数(小数第4位四捨五入)×250%(小数第4位切捨)」

これに対して今回の200%定率法の償却率の計算方法は、次の通りです。
「耐用年数の逆数(小数第4位四捨五入)×200%(小数第4位切捨)」

すなわち、これまでの250%定率法に比べて減価償却費として算入できる償却限度額が、80%(=200%/250%)少なくなりました。

ここで2つの留意点をまとめます。

1.対象となるのは「定率法」のみ
 定率法の償却率の計算方法の改定ですので、定額法により償却限度額を計算している建物などの資産については影響はありません

2.「取得」の時期での判断
 「平成24年4月1日以後に取得する」資産についての改正ですので、例えば平成24年3月31日に取得をしたけれども、4月1日に使用を開始した減価償却資産については、これまで同様250%定率法が適用されます

200%定率法の償却率など

旧定率法及び250%定率法の償却率など
再来年平成26年4月1日より消費税率が8%(消費税6.3%+地方消費税1.7%)に増税される施行日(予定)となっています。

そしてその半年前の平成25年10月1日を指定日といい、この日より前に資産の貸付けについての契約が結ばれて、施行日の前から同日以後にわたって引き続きその契約に関する貸付けをおこなっている場合で、下記の要件を満たすならば、施行日以後の貸付けに係る消費税は現行の5%(消費税4%+地方消費税1%)のままで良いという規定があります。

要件
1.その契約に係る資産の貸付けの期間とその期間中の対価の額が定められている
2.事業者が事情の変更などの理由によりその対価の額の変更できない
3.契約期間中に当事者が解約の申し入れできない他契約内容が政令で定める要件に該当する

上記の1と2に該当する契約は事務所や駐車場などの賃貸借契約、上記1と3に該当するのはいわゆるリース契約です。

指定日まであと1年ちょっととなりましたので、今ご契約中の不動産やリースの内容を見直したり、新規でご契約を行う予定がある場合などには、ちょっと頭の中に覚え置かれますと消費税の節税になるかと思います。

もちろん経営者だけではなく個人の方でも、増税前に車の買い換えやご自宅の購入やリフォームなどの大物耐久財の駆け込み消費はご検討いただいた方が良いと思います。
5%から8%へ変わるだけでも差引で3%ですから、100万円で3万円、1000万円ならば30万円も増えることになりますし、当然大きなご契約の場合にはそれに関わる手数料なども必要になりますが、それらに対する消費税も増えるので総額ではもっと大きな差になります。

カラーコピー機
我が事務所のカラーコピーはリースでは無くて購入しておりますので、リースのDMはご遠慮ください。
平成23年4月1日以後に終了する事業年度から、法人税関係特別措置を適用することで、税額又は所得の金額が減少する場合には、法人税の申告書に適用額明細書を添付する必要があります。

中小企業で適用を受けることが多い内容は、次のようなものです。

1.中小企業者等の法人税率の特例
 通常の法人税率は30%だが、中小企業などの所得金額のうち年800万円以下の金額については18%とする
 (租税特別措置法第42条の3の2

2.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
 中小企業などが、取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得した場合には、その事業年度に全額を経費として処理することができる
 (租税特別措置法第67条の5

3.中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却
 中小企業などが機械や装置を取得した場合には、通常の減価償却の他に、特別償却や税額控除を受けることができる
 (租税特別措置法第42条の6

添付しない場合には法人税関係特別措置の適用を受けられないことになりますから、注意が必要です。

適用額明細書
今夏で開業して11年となりますので、古くからお付き合いいただいております関与先様の事業年度も二桁になられる法人が増えてきております。

そうなりますと帳簿などの書類が膨大になり、その保管場所や保存方法が問題になります。
そしてそのたびに必ずお伺いされますことが「一体何年取って置けばよいの?」ということです。

結論から言いますと、決算書や総勘定元帳そして領収書や請求書など書類は、各事業年度の確定申告書の提出期限から7年間の保存が義務付けられております。

例えば3月末決算の法人の場合ですと、確定申告書(決算書)の提出期限は通常5月31日ですので、来月6月1日には平成17年3月31日までの事業年度の書類は廃棄して良いことになります。

そしてそれ以後毎年決算が終わりました時点で、保存している一番古い事業年度の書類を廃棄して、その場所に決算が終わったばかりの事業年度の書類を保存していただければ、保存場所の問題も少しは解決しますでしょうか?

[国税庁:帳簿書類等の保存期間及び保存方法]

決算報告書と総勘定元帳
横浜市の法人市民税は、平成21年4月1日から平成26年3月31日までに開始する事業年度分の法人市民税の均等割について、9%相当額を「横浜みどり税」として上乗せされています。

ただし最初の2年間(平成23年3月31日までに開始する事業年度まで)は、法人税額が無いなど法人税割が課税されない場合に限って、9%の上乗せも課されない軽減期間になっておりました。

この軽減期間が昨年1年間延長となったのですが、今回もう1年の再延長となり、来年平成25年3月31日までに開始する事業年度までは、法人税割が課税されない場合には横浜みどり税も課されないこととなりました。

中間納付が必要な場合には、通常法人税割が課税されておりますので、中間納付にも9%が上乗せされますから、忘れないようにご注意ください。

マリンタワー
| Next?